災害時糖尿病看護マニュアル抜粋

以下は、日本糖尿病教育・看護学会の「災害時の糖尿病看護マニュアル」から一部抜粋(加筆修正含む)したものです。このマニュアルは、日本で発生した自然災害時の被災地からの情報に基づき作成されたものです。通常の医療にアクセスしにくく緊急を要する状況に限りご活用ください。状況が落ち着き次第、医療機関への受診をおすすめいたします。

The following information is the excerpt (partially revised) from the "Diabetes Nursing Manual for Disasters" published by the Japan Academy of Diabetes Education and Nursing. This manual is based on the actual report from the disaster-stricken areas in Japan. This information is applied only when you have limited access to regular medical care and in an emergency. As this is just first aid, it is strongly recommended that you visit a medical institution soon after the situation has settled down.

日本語となりますので、Google翻訳などご利用くださいますと幸いです。

Finally, the text is available only in Japanese, so a translator such as "Google Translate Web" might be helpful if you don't understand Japanese.
 

1. インスリン注射(マニュアルp6-7)

1)注射時間と量
*ご自身が通常使用されているインスリン製剤の種類を確認しましょう。
*下表のように、食事量・内容に応じて、注射時間と注射量を調整します。
*ただし、1型糖尿病の方や1日4回以上注射を行っている方は、食事状況が不安定でもインスリン
 注射を中止してはいけません。(特に持効型や中間型のインスリン製剤を使用している方は必ず
 継続します)
*可能な限り血糖測定を継続し、測定値に基づいてインスリン量を調整します。

インスリン注射をする時間
インスリン製剤の種類注射する時間
超速効型・配合溶解・
混合型(二相性)
食事の直前
ただし、食欲不振があり食事摂取量が予測できない場合は、摂取できた量に合わせて食事の直後
速効型・混合型 食事の30分前
ただし、食事時間や食事量が不安定な場合は、摂取できた量に合わせて食事の直後
中間型・持効型溶解 食事時刻に関係なく、いつもどおりの時間
インスリン注射単位
インスリン製剤の種類食事摂取量インスリン注射量
超速効型・速効型 食事量(主に炭水化物)に応じて量を調整
5割以上 通常量~通常の50%程度の量
少量 通常の30~50%程度の量
混合型(二相性)・
配合融解・混合型
通常量 通常の指示単位を注射
食事回数や量が不安定 頻回インスリン療法(超速効型・速効型と持効型)への切替を検討
中間型・持効型溶解 食事量に関係なく、通常量

2)注射時の注意
*インスリン注射針とインスリン製剤は他の人と絶対に共有しないようにします。
*アルコール綿がない場合は、消毒を省略することも可能です。
*インスリン注射針は、針が折れ曲がらないように注意しながら複数回の使用も可能です。
 この場合、注射前の空打ちを必ず行い、液の排出を確認したうえで注射します。
 針をペン型インスリン製剤に装着したままにする場合は、カートリッジ内への気泡混入や破損に
 注意します。

3)注射後の注意
*低血糖および高血糖症状の出現に注意します。(2.高血糖・低血糖への対処参照)

4)注射製剤の保管
*キャップをして遮光保管します。
*高温を避け、開封後は常温で概ね4週間以内(6~8週間の製剤あり)に使用します。
*高温になる場所(車内など)に放置しないようにします。
*冬季はインスリンを凍結させないよう、ポケットに入れる等身につけておくようにして保管
 します。

5)針の廃棄方法
*使用済の針は、一般ごみとして廃棄してはいけません。
*誤って穿刺しないようにキャップをし蓋付のペットボトルなどに入れ、受診が可能になり
 ましたら医療機関にお持ちください。

2. 高血糖・低血糖への対処(マニュアルp11)

1)高血糖
*下表のような高血糖症状を自覚した場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
*下表のような高血糖昏睡徴候に気づいた周囲の方は、速やかな医療機関への搬送をお願いします。
*インスリン注射や糖尿病薬の中止・減量、感染症、脱水、心身のストレス、清涼飲料水の多飲
 等は、高血糖になりやすいです。
*炭水化物過多の食事になっていないか注意します。
*尿糖検査紙は薬局にて購入できます。

高血糖症状 口渇、多飲、多尿、全身倦怠感、消化器症状(悪心、嘔吐、腹痛)など
高血糖昏睡徴候 活気の低下、強い倦怠感、応答が鈍いなど

2)低血糖
*低血糖とは、インスリン注射、経口血糖降下薬等を使用中の人が、血糖値70mg/dl
 (3.9mmol/l)以下になった場合をさします。
*下表のような症状が出現した時(無症状であっても70mg/dl(3.9mmol/l)以下の時)、
 速やかにブドウ糖を含むジュース(コカコーラ、ファンタグレープ等)を、200ml程度飲みます。
*ブドウ糖やジュースがない場合は、砂糖20gを摂取します。
*カロリーゼロ、ローカロリー、ノンカロリーの飲み物は適しません。
*α‐GI薬(α-glucosidase inhibitor)を内服中の場合は、必ずブドウ糖を摂取します。
*こうした対処のあとは、炭水化物80~160kcal(335~670kJ)程度の補食をするとよい
 でしょう。
 日本食における160kcal(670kJ)の例:おにぎり1個、6枚切り食パン1枚
*意識がないことに気づいた周囲の方は、速やかな医療機関への搬送をお願いします。
 (可能であれば、歯肉にブドウ糖や砂糖を塗り付けるなどの救急措置をお願いします)
*食事量が少ない時、避難のための徒歩での移動など活動量が多い時は、低血糖になりやすいです。

低血糖症状
血糖値(目安)症状
70~50mg/dl
(3.9~2.7mmol/l)
冷汗、動悸、手指の震え、顔色不良、イライラ感、不安感
その他身体の違和感
50mg/dl
(2.7mmol/l)程度
頭痛、眼のかすみ、空腹感、あくび、歩行に異常を感じる、しびれ感
無表情、異常行動
50mg/dl
(2.7mmol/l)以下
意識がなくなる、けいれん

3. 避難生活の注意点(マニュアルp12-13)

1)脱水予防
*口渇、倦怠感、乾燥(皮膚、口唇、舌など)などは脱水症状かもしれませんので、注意が必要
 です。
*こまめに水分補給しましょう。
*トイレに行きにくいからといって水分摂取を控えることのないようにしましょう。
*血糖値が測定できたら測定しましょう。
*脱水症状があったり、食事が摂取できなかったり、意識や体動が少ないことに気づいた周囲の
 方は、速やかな医療機関への搬送をお願いします。

2)感染予防
*発熱、肺炎や胃腸炎、尿路感染症、歯周病、外傷などがあると、血糖値は上昇します。
*手洗いや手指衛生(擦式手指消毒剤含む)、うがい、歯磨き、義歯洗浄をしましょう。
*ウエットティッシュやお尻拭きなどを活用して体を拭くこともできます。
*マスクを装着しましょう。
*症状がある場合は速やかに医療機関を受診しましょう。

3)深部静脈血栓予防
*定期的に体を動かすようにします。
 (散歩や軽い体操やストレッチ、座ったままでも足のつま先や足首を動かす運動が有効です)
*ゆったりとした服装で過ごしましょう。
*こまめに水分を補給しましょう。
*足を下におろしたまま眠ることのないようにします。

4)足病変予防
*足をできる限りよく観察するようにしましょう。
*足の清潔を保つよう、ウェットティッシュで拭いたり、可能であれば洗い流すようにしましょう。
*屋内でも靴下を着用し、外傷を受けることがないようにします。
*冬季は使い捨てカイロによる低温やけどに注意します。
*足に傷を見つけたり異変を感じたら、速やかに医療機関を受診してください。