研修推進委員会

 当委員会は、糖尿病看護実践の質向上を目指し、会員および糖尿病看護に携わる看護職の皆さまへの研修会の企画・運営を行っております。JADEN5カ年計画重点目標の5.糖尿病教育・看護の場の拡大に対応した、教育・看護力の底上げの一環として、糖尿病看護を実践する方々の診療報酬にかかわる研修として、1.算定要件となる糖尿病重症化予防(フットケア)研修、2.糖尿病透析予防支援を実施する方々の支援の質向上を目指した研修、を毎年実施しています。さらに、日本の超高齢社会における高齢糖尿病患者の増加に伴う課題に対応した研修を行っています。

主な研修内容

1.糖尿病重症化予防(フットケア)研修

 平成20年の診療報酬改定で「糖尿病合併症管理料」が新設されて以降、本学会は糖尿病重症化予防(フットケア)研修を継続して実施しています。

 本研修は、糖尿病合併症管理料を算定するための看護師の施設基準の要件に必要な「適切な研修」です。平成20~令和7年3月末で主催研修の実施回数は32回、受講者は1,654名となりました。共同企画2回、都道府県看護協会等との共催は81回となりました。

 糖尿病重症化予防の目的は、糖尿病のある方の足病変を予防しQOLを維持・増進することにあります。そのため、本研修ではフットケアの技術のみではなく、糖尿病の適切な自己管理のための支援として生活習慣や生活背景を踏まえたきめ細やかな支援ができる看護師を育成することをねらいとして研修を行っています。

 本研修は、臨床現場でのニーズも高く、フットケアを実施できるスタッフを増やせるよう、研修参加枠の増員に力を入れています。また、2024年にはフットケアテキストを改訂発刊し、フットケア実践の質向上に取り組んでいます。

2.糖尿病透析予防支援研修

 平成24年の診療報酬改定で「糖尿病透析予防指導管理料」が新設されて以降、本学会では支援の質向上のための研修を行っています。

 本研修は、糖尿病チーム医療において、糖尿病腎症第2期以降の患者に対し腎症悪化予防支援に携わっている専門職者を対象とし、支援の質向上を図る事を目的としています。平成26~令和7年3月末で11回を実施し、研修受講者が757名となりました。

 多職種で支援する体制がスタッフの不足などにより難しい現状もあり、看護職が運動療法にかかわることもあります。しかし、糖尿病腎症を合併した方への支援として看護職が運動療法に苦手意識があることも研修時のアンケートからわかってきました。支援を受ける方々に対し、支援にかかわる看護職者が苦手意識を払拭し、必要な支援を行えるよう研修のアップデートに取り組んでいます。

3.高齢糖尿病患者看護研修

 本研修は、平成29年より実施しています。高齢糖尿病患者がより豊かな生活が送れるように、支援にかかわる看護職が高齢者の特徴に理解を深め、病院や地域における連携した支援として取り組むべき課題等も含め、様々な所属施設から参加される方々が一緒に検討し会えるような内容で研修を行っています。平成29年から取り組んでいた「インスリン療法」から、現在は特別委員会作成の「高齢者の無自覚低血糖リーフレット」を活用して、その普及促進を目指した研修に取り組んでいます。「高齢糖尿病患者の課題」(特別委員会作成)は、糖尿病看護に携わる看護職の課題でもあります。

 今後の研修は、こうした課題にどのように対応していけるのかを見据え、新たな研修を企画して参ります。