学会設立の趣旨・変遷

 糖尿病患者の増加により患者教育へのマンパワーの必要性が増大し、それとともに看護師や栄養士、薬剤師、検査技師らによる患者教育への期待が高まっています。これらの期待に十分応えるには、患者教育を質、量ともに向上させる必要があります。
 そのため日本糖尿病教育・看護学会では、糖尿病教育・看護の専門家として実践に応用できる研究を推進したいと考えています。本学会は、糖尿病教育に関する研究者の発表の場、あるいは実践家の実践報告の場、また研究者や実践家の情報交換の場であり、これまでの糖尿病教育・看護の経験や理論を整理、統合し、糖尿病教育の向上に貢献することを目的としています。

 日本糖尿病教育・看護学会の設立は、1996年2月に「日本糖尿病療養指導士」認定制度の準備が進められつつあるなか、それに期待と不安を持つ有志が集まったことに始まります。当時、その有志らは、この動きに対して声を上げようとしましたが、学会のような研究者組織がなかったため、関与も声を上げることも出きませんでした。そのことが、全国的な学会設立へと結びつき、1996年10月に日本糖尿病教育・看護学会としての歩みを開始しました。
 その後、学会活動は毎年盛んになり、学術集会の参加者は2007年の12回には2500名、2010年の15回では3000名、そして2013年の第18回では4000名に近づく勢いで増加し、熱心に学術交流や、先駆的な現場実践の紹介が行われています。これらの活動の活発化ならびに会員増等を背景として事務局体制をより強化し、2010年12月1日から、一般社団法人 日本糖尿病教育・看護学会 となりました。

他組織・団体との関係

 本学会では、糖尿病に関わる他の組織・団体とも、緊密に連携を取って活動しています。
 1996年10月に本学会が設立された後、そのきっかけとなった「日本糖尿病療養指導士」認定制度は、日本糖尿病学会、本学会(日本糖尿病教育・看護学会)、及び日本病態栄養学会の3学会が親学会として協同で立ち上げることになり、2001年3月には第1回認定試験が行なわれました。2013年6月現在での看護職の日本糖尿病療養指導士数は8,514名に達し、全職種数の半数以上を占めています。本学会では、全国の看護師の糖尿病療養指導士を支援する目的で当初よりネットワーク委員会を設け、糖尿病教育・看護の質向上に繋がる活動を行っています。
 また、日本看護協会が主催する認定看護師制度に関しては、本学会申請による糖尿病看護分野が2000年に領域承認され、2001年4月から養成のための研修が開始されています。本学会が当初に提案した標準カリキュラムに準じた教育課程は2013年現在、全国で5課程が開設され、同年6月現在での糖尿病看護認定看護師数は555名に達しています。
 2013年6月には日本糖尿病対策推進会議の構成メンバーとして認められ、その活動にも参画しています。

糖尿病教育・看護実践の質向上のための諸活動

 本学会は、糖尿病教育・看護の質向上を目指した諸研修を企画・運営するとともに、糖尿病看護提供の基盤となる診療報酬評価に関わる活動も積極的に行っています。

 2006年度から開始された厚生労働省医政局看護課事業「専門分野(がん・糖尿病)における実践能力の高い看護師育成研修」が始まりました。本学会では、糖尿病に関してその事業が円滑に進むように支援することを目的に、研修標準プログラムの策定・公表、全国の研修引き受け施設への働き掛けと施設の交流会開催、看護課への事業継続の働き掛けなどを行い、2012年度末までで、425名の研修修了者が輩出されています。その研修テキストとして、「糖尿病に強い看護師育成支援テキスト」を刊行しました。

 診療報酬に関しては、評価の獲得とともに、評価後は関連する研修の企画・運営を通じて質の高い診療報酬行為が広く、適切に提供されるように支援しています。
 2008年の診療報酬改定では、「"糖尿病足病変"について、適切な体制を備えて、そのハイリスク患者に対して重点的な指導・管理を行なった場合に評価を行なう」として、「糖尿病合併症管理料」が新設され、本学会員を中心とした、糖尿病ケアの実践を担う看護職の根拠に基づいたケアが評価されることになりました。本学会はこの診療報酬評価にあたり、積極的に厚生労働省に働きかけました。そして、評価後には、診療報酬算定にあたって求められる糖尿病足病変に係る「適切な研修」の標準プログラムを作成・公開しております。この標準プログラムに準拠する「糖尿病重症化(フットケア)研修」は、「適切な研修」として「糖尿病合併症管理料」の施設基準に明記されています。本学会では、これまでに主催・共催・共同企画による研修を実施し、2000名を超える修了者を送り出しています。この研修テキストとして、「糖尿病看護 フットケア技術」の第2版、第3版を刊行しております。
 また、2012年の改定では、「糖尿病腎症による透析移行を予防することを目的とした診療チームに看護職を含める」こととして、「糖尿病透析予防指導管理料」が評価されました。本学会はその評価に至るうえでも一定の役割を果たし、評価後は、実践の質向上のための研修を企画・実施しております。

平成25年12月吉日